「ソラリス」の主人公、クリス・ケルヴィンが最後に示した姿勢こそ、レムが最も訴えたかったメッセージであり、私たちが今、最も学ばなければならないことだと思えてなりません。
恥ずかしながら新訳されていたことを知らなかった私は、貪るように読み始めました。そして、その訳には、私が抱いてきた疑問の幾つかに答えてくれる内容が込められていることにも気づきました。この作品が、更に深化する形で、世界文学としての強力な魅力を放っていることにも。 作品を読み終えた5月、私は、沼野さんに、取材依頼のメールを送りました。返事はすぐに返ってきました。そこには、「『ソラリス』は私の人生を決めたといっていいほど大事な本です」との文言。もうこれは「ソラリス」の解説をお願いするしかない。とはいえ、企画が通るかどうかの目途は全くたっていませんでした。はやる心を抑えつつ、私は、沼野さんの仕事場をまずは訪ねてみることにしたのです。 この訪問は、まさに私の心を揺さぶり続けます。まず訪ねた仕事場の表札にはスタニスワフ・レムの作品にちなんだ名前が! そして案内された仕事場には、まるまる一つの書棚を占領するようにレムの資料がぎっしり!
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映画「 ソラリス 」。 原作はS.