『じゃあ日曜日に行くわ』 「うん、待ってる」 ある日、ガンヒョンから日曜日のランチの誘いがあった。 しつこい市役所の職員さんを蹴散らすそうだ。 実はガンヒョンには密かに思っている人が居るらしい。 誰なのか聞くと、同僚だという返事が返って来た。 だから、その市役所さんのことは迷惑だとか。 『好きな人が居るってはっきり言ったのに、結婚してるわけじゃないって言うのよ!』 信じられない!とガンヒョンはお冠だ。 得意の武術で投げ飛ばすわけにはいかないので、ソジュンを自分の子供だと思わせるらしい。 そんなことをしてもすぐにバレると思うのだが、ガンヒョンは、市役所さんは馬鹿だから大丈夫だと言い切る。 ・・・いやいや、公務員相手に失礼でしょ。 『公務員だからこそ、市民の迷惑ってものを考えるべきよっ』 『・・・』 一理あるので、それ以上何も言えなかった。 そして日曜日当日、外食を喜んでいるソジュンとともにガンヒョンを待っていると、なんとイ・シンさんも一緒に来たのである。 挨拶の後聞いたところによると、ダヨンちゃんがご両親と共にシンガポールに行くらしく、その前にソジュンに会いたいと言っているそうだ。 勿論了承した。 ソジュンも会いたがっていたから。 何やらすごく嬉しそうにイ・シンさんが帰ってから、ガンヒョンが徐に聞いて来た。 「あんたってやっぱり彼のこと嫌いじゃないのね」 「え・・・」 "やっぱり"? 見透かされたようにそう言われて少々動揺してしまった私に気付いたのか、ガンヒョンは更に鋭いことを言った。 「もしかして前に言ってた"デパートで見掛けた素敵な人"って彼なんでしょ」 「・・・」 以前確かに、デパートに素敵な店員さんが居るとは言った。 でもそれだけしか言っていなかったのに、何故判ったのだろう? 「だって、イ・シンさんってあんたのタイプだもの」 小さい頃からああいう顔の人が好きだもんね〜と言われて、返事も出来なかった。 さすが長年の親友だけある。 だからというか、初めて病院でイ・シンさんを見て事情を知ってから、「チェギョンの好きなタイプの彼なのにこんなことになるなんて」と半ば憤慨していたらしい。 なので今日、インターホンの前で部屋番号を押せずに躊躇っているイ・シンさんを見て、追い返してやろうかとさえ思ったそうだ。 「でもまあ、あんたがいいなら反対なんてしないわよ。 だってあんたの人生だもの」 「・・・」 私の人生・・・?
<皇太子殿下、王族のチョン・ウニョン嬢と熱愛か!? ?> 「何だ、これ! !」 朝の挨拶を終えて東宮殿に戻った時、キム内官が新聞を手に俺の部屋に飛び込んで来た。 新聞にはデカデカと俺とウニョンさんがにこやかに肩を並べて歩いている写真が掲載されている。 これはあの見合いの時のものだ。 お互いの健闘を祈って握手してから、上殿を出るまで送って行ったのだが、その時の玄関でのものなのだ。 これを撮れるのは宮の人間しか居ない。 「キム内官、これは上殿の東玄関です。 この辺りの防犯カメラをチェックしてください。 これを撮れたのは宮の職員以外有り得ません」 「は、はい!」 こんな記事をチェギョンに見られたら、どんな誤解をされるか判ったものではない。 否定の電話をしようか、だがまだ知らないかもしれない、などと考えながらテレビを付けた時、ウニョンさんがテレビ画面に映った。 『実は私は殿下とお見合いはしました。 この写真は、帰り際、殿下が外まで送ってくださった時のものです』 『おおっ、お見合いですか! 宮【お題のおはなし】 - ちはやのつぶやき. !』 それを言うのか!??? すぐに記者が反応して、ウニョンさんはフラッシュ塗れだ。 チョン家にマスコミが殺到していたらしく、ウニョンさん本人が出て来たので余計にすごい騒ぎになっているのである。 彼女は何を言うのだろうと、俺はテレビ画面を食い入るように見ていた。 『ですのでこれを撮れる人は限られています。 宮の職員さんがこんなことをしたなんてすぐには信じられませんでした』 その言葉には少しほっとした。 もしかして先日の彼のことは忘れて、この際俺と、などと考えたのかもと思ったから。 だが写真のことは俺も信じられなかった。 が、これを撮っていた人間は必ず防犯カメラに映っているはずなので、遠からず判明するだろう。 『それと、私には愛する人が居ます。 勿論殿下ではありませんし、私は彼1人を想っています』 毅然としたウニョンさんのこの言葉に、記者たちがざわつき始めた。 が、彼女の口はそれだけでは止まらなかったのである。 『そしてやはり殿下にも愛する人がいらっしゃいます。 このお見合いの時、殿下も他に好きな人が居るというので、お互いに頑張りましょうと励まし合ったんです』 おおお!! !と記者たちがどよめいている。 まさかテレビカメラの前でそれを言われるとは思っていなかったが、却って良かったかもしれない。 この時のことでウニョンさんとのことはデタラメだと判り、新聞社はその日のうちに、写真提供者の情報を宮に持って来たのである。 「申し訳ございません!
兄たちが居た頃はともかく、ソジュンと暮らし始めてからは、私の時間は全てソジュンのためにあった。 何もかもソジュンを第一に考えて生きて来たのだ。 勿論これからもそうだと思っている。 黙り込んだ私に、ガンヒョンがはっきり聞いて来た。 「まさかソジュンが居ればいいなんて思ってないでしょうね?」 まさにそう思っていたことを言い当てられてしまった。 「それとも、まだああいう人たちとは住む世界が違うと思ってるの?」 「・・・」 それも思っていた。 お金持ちと一庶民は似合わないのだと。 「お金持ちだろうと教師だろうと皆同じ人間だわ。 一人で生まれて一人で死ぬの。 あんたは自分の境遇に雁字搦めになってるだけよ。 大体、あんたがそう思ってるなんて、ソジュンが可哀想でしょ」 ・・・ソジュンが可哀想。 その言葉は、私自身の檻を壊した。 私は、自分で自分を縛っていたのかもしれない。 ソジュンと暮らし始めてから、蔑まれることが日常的になっていたので、世界が違うと考えることで私はイ・シンさんから逃げていたのだろうか? 「イ・ウンさんたちに甘えたように、イ・シンさんにも甘えていいと思う。 あんなに嬉しそうに帰った彼なら、喜んで受け止めてくれるわよ」 「・・・」 ガンヒョンの言葉はすんなり私の胸に入って来た。 イ・シンさんに憧れていたし、今でも素敵な人だとは思っている。 「好き」と言えるだろう。 それに、数ヶ月前の病院であんなに怒鳴って怒ったのに、それでも今日此処に来てくれた。 私も、もう少し勇気を出してみようか? 「ありがとう、ガンヒョン」 胸のつかえが取れたように、気付けば私はガンヒョンにお礼を言っていた。 「いいのいいの。 で、今日は私がソジュンのママだからね。 さあ行くよっ」 ニヤッと笑ってそう言ったガンヒョンは、私とソジュンを追い立てるようにエレベーターに乗った。 そして次の日曜日、私は新たな気持ちでソジュンとともにマンションの玄関に下りて来て、イ・シンさんの前に立った。 彼は、嬉しそうに笑ってくれた。 関連記事 You only live once 32 You only live once 31 You only live once 30 You only live once 29 You only live once 28 You only live once 27 You only live once 26 スポンサーサイト 34 Comments こんばんは😊 さすが親友のガンヒョンにはチェギョンの気持ちは分かっていましたね!
ちょうどそういう話になるでしょうし、頑張って告白してもらいたいもんです。^^; コメントありがとうございます。 すぐに動いたウニョンさんに感謝ですよねー。 さすがっ。(笑) うんうん、会見が「好転」に向かえばいいですね。(^^) TOPのあれ、Yahoo! さんの時に貼ったものなんですよ〜。 使い回ししたの。(*´艸`*) うんうん!!!!! あれ最高ですよね〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。(≧▽≦) コメントありがとうございます。 シン君には疚しいことはないので、冷静に指示出来たようですね。(笑) チェギョンはウニョンさんのことは違うと判ったようですが、他にお妃さまは居ると思ってますもんね〜。^^; さて、シン君はなんて答えるんでしょうねえ?? トップページ - hikanatuの【宮】. コメントありがとうございます。 「それを言っちゃう」ってどれだろ??? (笑) シン君の会見は・・・、スイスで映るかな〜?? ?ですが。^^; 「…殿下にも愛する人がいます…………」 あら~と思ったけど、シン君の背中を押した感じかしら😃 コメントありがとうございます。 ウニョンさんがはっきり言ったことでマスコミも引いちゃいましたね〜〜〜。(≧▽≦) おかげで一件落着しましたっ。 シン君にしても良かったと思いますよ〜。 なんたって味方は多いんだから、とにかく告白するだけ! ・・・では済まないだろうけど。^^; 何よりも問題はチェギョンですよね〜・・・・・。 コメントありがとうございます。 あ、そうでしたっけ? (笑) 気付かないというより、「そんなことは有り得ない」と思ってるんだと思いますよ〜。(≧▽≦) 前途多難・・・、でしょうねえ。^^; ソレですか〜〜〜〜〜。(笑) うん、ソレ絶対シン君の背中を押しました。(≧▽≦)
ひねもすのたりのたりかな\( ● ⌒ ∇ ⌒ ● )/何気ない日常を綴ったブログです あっ! 韓国ドラマ・・宮・二次小説があったりしちゃいますが 此処は倉庫みたいな場所 雑然としています お許しあれ~
黄昏色の詠使い ライトノベル「黄昏色の詠使い」に関する情報・記事などお待ちしております。 君の・僕の・小説屋さん 自作小説、夢小説 何でもトラバして下さいなっ!!! 小説の館。 小説の館。へようこそ。 ここは、ジャンル関係なしで、小説をどんどん載せていっていい場所です。 〜小説は人の心を豊かにする〜 をモットーし美しい小説を作り上げていきましょう。 アスラクライン アニメ化の決定された電撃文庫の、「アスラクライン」のことなら何でもどしどしトラックバックして下さい!なんだか絵がふんわりしてていいですねっ! 講談社BOX 講談社BOXに関する記事を書いた時は、トラックバックしてください。 パンドラや、流水大賞に関する記事でもかまいません。 狼と香辛料 II 「狼と香辛料」、「狼と香辛料 II」に関する記事だったら、原作・アニメ問わず何でもOKです。 不思議な物語 日常生活に出没する奇妙なもの達の系譜 想い 自作小説・ポエムを、お書きになってる方 参加をお待ちしております。 (申し訳ありませんが、アダルト系などは控えさせて頂きます。 管理人の判断で削除させて頂く場合もごさいます。 大変申し訳ありませんが、ご了承の程よろしくお願い致します。) 友釣り 友釣りで楽しく遊びましょ。添えに関した小説、川柳などもいかがかしら オリキャラの世界 自分の中にいるキャラクターの心をなりきって書いた詩、小説など・・・ 独自の世界。 キャラクターの世界などを書いた記事をトライバックしてください。 楽しい物、切ないものなどジャンルは問いません。
はじめに… 2021 31 Fri 23:59:59 Comment 22 こんにちは(^^) hikanatuの【宮】妄想部屋へようこそ。 韓流ドラマ【宮】の二次小説を書いてます。 シン君とチェギョンのお話は【宮】仕様だったり、パラレルだったりしますが楽しんでいただければ幸いです。 『宮』が大好きで、ドラマはもちろん、マンガや小説まで読み、たくさんの方の二次小説を拝見しました…で、とうとう、自分でも... ep. 6 2020 15 Sun 08:08:53 慌ただしく非日常の業務に追われる3日目…「観光なんて、甘かったな…」ー ボソッと呟いた言葉に、溜め息まで出ていたのかもしれない。「悪いな…遅くまで」ハッっとして顔を上げると、イ・シン課長が前に立っていた。「あっ…すみません…」「別に謝る必要なんてない。確かに、業務が山積みで、休みどころでもないか…」課長は、申し訳なさそうに苦笑いしている。「君は、明日、出かけるのか?その…いや…観光というか…」一瞬、何を言わ... こんばんは(^^) 2020 29 Sat 23:59:33 Comment 0 本当に久しぶりに、お話を書いてるのですが、お楽しみいただけてますか?(笑)書き書き…消し消し…という具合ですwwなかなか話が進まない…(・・;)こんなので大丈夫なのか?って。まあ、ハッキリ言って、自己満足の世界ですから、正解も不正解もないですが、不快な方には、申し訳ないですね。さて、『コロナウィルス』凄いですよね。hikanatuのところは、石川県です。確か6人の感染者の方がいらっしゃるようで…まだまだ増えそうです。... 妄想8(完) - こっそり、そっと・・・. ep. 5 2020 29 Sat 21:00:00 イ・シン…34歳、独身たぶん…初めから、一目惚れだったのかもしれない…俺は『恋』というものを知らない…『本当は気になってるんじゃないのか?お前の事だから、自覚がないんだろうが。まあ、かなりの頻度で、目が追いかけてるぞ!』ジェインは2つ上の先輩で、兄貴的な存在でもある。そんな彼は、俺の事をよく理解しているんだろう…飲みに行くと必ず言われるが、俺も意識してる訳でもない。この容姿の所為なのか、来るもの拒まず去る... ep. 4 2020 17 Mon 23:30:00 ざわついていた同僚たちも私とガンヒョンが来たことで、自分たちの席に付いてしまい、盛り上がっていた、人事異動の話もよく分からないまま、パソコンの電源を入れた。始業開始とともに、イ・ジェイン部長にイ・シン課長と共に呼び出された。「イ・シン課長とシン・チェギョン!」名前を呼ばれた私は、何かミスをしたのかとヒヤヒヤしながら、部長の方へと向かった。同僚たちの同情した空気に、苦笑いしか出てこない。「はい、部長... epi.
メイクの力で、引き締まったメリハリ小顔を手に入れましょう。 ■余裕があるときに実践したい!顔パンパン改善法 朝の忙しい時間などは、とにかく小顔にみせるためのメイクに頼るのが賢明ですが、余裕がある朝や日中のスキマ時間、夜眠る前に時間を見つけて「顔パンパン改善法」を実践してみるのはいかがでしょうか? ▼温冷パックでむくみをやわらげる 水で濡らしたタオルを電子レンジであたため、ホットタオルを作ったら、顔にのせて温めると、血行がよくなり、余分な水分や老廃物が流れていきます。 ホットタオルで温めた後は、冷たい水に浸して絞ったタオルを顔にのせ、引き締めていきます。 温めたり、冷やしたりを繰り返すことで、血管の収縮と拡張を促し、血行がよくなることで、老廃物も流れていくため、むくみの改善につながります。 ▼顔面エクササイズでフェイスラインを引き締め 顔についたお肉が気になる場合は、表情筋を鍛えることで小顔美人に近付けます。 大きく口を開け、顔全体の筋肉を使って「あ・い・う・え・お」と発音する「あいうえお体操」は、口まわりや頬、あごの筋肉を刺激し鍛えられます。 ▼湯船に浸かって体をしっかり温める 湯船にしっかり浸かって、身体を温めることで、血行がよくなり、むくみの緩和が期待できます。