痔瘻の自然治癒はまれで,基本的には手術が行われます.痔瘻の型により,根治性と機能温存を考慮した手術が行われます.手術によって機能障害をきたす可能性のある複雑痔瘻については,専門施設での治療をお勧めします. 図1A.肛門周囲膿瘍.7時方向に発赤・腫脹している病変を認める(写真左が12時方向). 図1B. 図1A症例の切開・排膿.局所麻酔下に切開すると黄色い膿が流出する. 図2.痔瘻の瘻管.手術時に周囲組織から剥離した痔瘻の瘻管.白い索状物で硬く触れる. 図3.低位筋間痔瘻の模式図.痔瘻の原因となる穴を原発口,感染を持続させるもとになる部位を原発巣,皮膚開口部を二次口と呼ぶ. 図4.痔瘻の二次口.2時方向に2つの痔瘻の二次口が見える(写真上が12時方向). 図5.クローン病の痔瘻.多発する二次口や皮垂を認める(写真上が12時方向).
最終更新日: July 19, 2018 所沢肛門病院 栗原浩幸 はじめに 肛門にはいろいろな病気がありますが,化膿する病気の代表的なものが肛門周囲膿瘍や痔瘻です. 1.肛門周囲膿瘍・痔瘻とは? 肛門周囲膿瘍とは,肛門管内の小さな穴などから細菌が入って肛門・直腸周囲が化膿するものです(図1A, B).膿が自然に出たり,切開・排膿されると,後に膿の通り道が残ります.この管(くだ)やしこりになったものが痔瘻です(図2). 痔瘻の原因となる穴を原発口,感染を持続させるもとになる部位を原発巣,皮膚開口部を二次口と呼びます(図3,4).皮膚に開口部を持たない痔瘻も少なくありません. 8割くらいは低位筋間痔瘻といわれる肛門周囲の浅いところを通る管ですが,坐骨直腸窩痔瘻という複雑なものもあります. 2.原因 一般の肛門周囲膿瘍は,肛門と腸の境目にある肛門陰窩という部分に開いている肛門腺に,下痢便などが入ってしまい化膿することによって発症するものです.下痢が続くと発症しやすいので,下痢しないような生活指導が必要です. 【肛門激痛体験】肛門周囲膿瘍になりました|自然に治る?症状は? | ごまブロ. それ以外にも裂肛から生ずるもの,Crohn病に合併するもの(図5),結核, HIV感染,膿皮症などが関与するものもあります. 3.症状 肛門周囲膿瘍になると痛んだり発熱したりしますが,痔瘻は通常痛くはなく,しこりを触れたり,分泌物が出たり,かゆみを感じるなどが症状です.痔瘻が再び化膿して肛門周囲膿瘍になり痛むこともあります。 4.診断 肛門周囲膿瘍の存在部位が浅いものは,目で見て発赤や腫脹を確認し,指で触って膨らみや痛みを知ることによって診断します.深いものについては,目で見てもわからないことが多く,指で触って診断しますが,肛門専門医でないと判断がつかないような例もあります.大きな病院に行きCT検査や超音波検査でやっと診断がつく場合もあります.肛門が痛くて発熱のある場合には,肛門専門医に受診することをお勧めします. 痔瘻は目で見て指で触って診断するのが一般的です.肛門周囲にできた二次口を確認し,管の走行を指で確認するのです.複雑な痔瘻についてはその広がりを知るためにMRI検査を行う場合もあります. 5.治療 肛門周囲膿瘍の治療の原則は切開・排膿です.診断がつけば,基礎疾患,抗血栓薬の使用の有無にかかわらず,速やかに切開・排膿を行います.膿瘍の存在部位が浅いものは局所麻酔下で切開しますが,深いものは腰椎麻酔(ただし抗血栓薬を用いているものは禁忌)などで行います.皮下に広範囲に広がったものや全身的な合併症をもつ場合,切開だけでは症状の改善が長引くと予想される場合には抗菌薬を投与します.
痔核(イボ痔) 静脈の血流が悪く、うっ血し、さらに静脈が拡張したものが痔核です。発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。 ↑クリックすると拡大表示します ○内痔核 初めは出血があるだけですが、進行すると痔核が肛門外へ脱出するようになります。 初期の痛み、出血、腫れなどの急性症状は、薬を使ったり、風呂に入ったりして、うっ血や炎症がとれてくればおさまります。 しかし、痔核が簡単に脱出したり、脱出した痔核がもどりにくい程度になると手術が必要となります。 ○外痔核 突然血の塊ができ、腫れて痛みがあります。薬により治りますが、大きく痛みが強いものは切除するか、血の塊を取り除く必要があります。 日常生活の注意点 1. 便秘をしない。 2. 下痢をしない。 3. 排便時間を短くする。 4. 患部を冷やさない。 5. 肛門をいつも清潔にする。 6. 軽い運動をする。 7. 腹圧のかかる姿勢を長時間とらない。 8. アルコールはやめること。 肛門周囲膿瘍と痔瘻 肛門の奥から細菌が入って、肛門周囲が化膿したものが肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)です。 膿瘍が破れるか切開して肛門の奥と交通した管ができたものが痔瘻(じろう)です。 肛門周囲膿瘍は痛みが強く、膿が多くなると熱もでますから、切開が必要です。また、痔瘻は薬では治らず、化膿を繰り返し長い間には複雑化したり、癌化することもありますので、手術が必要です。 1. 下痢をしない。 2. 膿瘍は切開を受ける。(早い時期に根治手術を受けるようにしましょう。) 3. アルコールはやめること。 裂肛(キレ痔) 肛門が切れたものが裂肛です。 硬い便の通過や肛門の無理な広がりによっておこります。初期では排便時の痛みと少量の出血があります。進行すると、排便後に長時間痛みが続くようになります。また裂肛は痔瘻になったり、肛門が狭くなることもあります。薬を使ったり、便秘をしないようにすれば、裂肛はおさまりますが、慢性化したものには手術が必要です。 2. 患部をいつも清潔にする。 3. アルコールはやめること。
2018年から2019年3月にかけて、20年ぶりに大阪・梅田に来ていた『木下大サーカス』。年間120万人が訪れる世界3大サーカスのひとつとして知られています。 そんな『木下大サーカス』ですが、人気の裏で一体どのようにして全国各地を巡っているのか気になるところ。 今回は2019年5月17日(金)に、読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』で放送された『情報喫茶店』より、今まで知られていなかった『木下大サーカス』の裏側に迫ります! ■公演のプログラムは当日の朝に決める 画像:読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』 大阪公演最終日、団員歴23年の高原さんの朝は、なんと5時30分からスタート。朝一番の仕事は、プログラムを組むこと。 なんと、毎日当日の朝にその日の公演プログラムを組むのだそうです。何度来ても楽しんでもらえるよう、動物の体調やお客さんの感想を元に、公演内容を毎日変えているのです。 そしてプログラムを組み終えた後、7時15分からはトレーニングを開始。高原さんはプログラムを組むなど運営の仕事をする傍ら、今も第一線で活躍するパフォーマーなのです。 トレーニングを終えると、舞台の掃除をして、子どもたちが登校するのをお見送り。『木下大サーカス』の団員さんたちは、家族と一緒に生活しながら日本全国を巡業しているのです。高原さんも4人家族で、毎日欠かさず子どもたちの登校を見届けます。 ■一人何役も!出番だけでなく裏方仕事もこなす団員達 10時に開場すると、お客さんが続々と会場に入ります。その時、本番直前の高原さんはなんと売店で接客中。そして、出番が近づくと、売店を閉めて、ステージへダッシュ。売店を出てからステージに出演するまでの時間は、わずか5分! 公演終了後も売店で接客をするなど、常に動き回っています。 しかし忙しいのは、高原さんだけではなくて、『木下大サーカス』の団員さん全員なんです。団員さんたちは、みんな1人複数の役割をこなし、常にフル回転でお仕事をしているのだそうです。 ■撤収作業もすべて団員の手作業 毎日フル回転で忙しい団員さんたちにとって一番忙しいのは、公演最終日。終演後わずか30分で、撤収作業が開始。そして、作業に取り組むのも、なんと団員さんたちなんです。 ショーの出演だけでなく、解体、設営まですべて団員さんたちの手で行われているのだそう。 わずか3日で引越しをしないといけないため、社長さんも含めて約100名総出でフル稼働!
どんなときに仕事の楽しさ・やりがいを感じますか? 僕は18歳で入団し、21歳のときにオートバイショーで初めて舞台を踏みました。出来が悪かったのでデビューまで3年かかったんです。普通はそんなにかかりません(笑)。つらかったですね。でも初舞台を踏んでお客様から声援をいただけたときは、とても気持ちがいいものでした。今でもお客様の声援が一番の喜びです。 Q3. 仕事の大変さを感じるのはどんなところですか? 僕らはいろんな仕事をしているので、一つのことだけできれば良いというわけではありません。また、一つひとつの仕事にお客様の印象や、時には人の命がかかっているのでどれも中途半端にはできません。毎日毎回、完璧に近い状態で仕事をしなければいけないというのは大変なことだなと感じます。 ちなみにサーカス芸人の仕事をしていると「危ないんじゃない?」と心配されることが多いのですが、僕はこれまで命の危険を感じたことまではありません。自分が芸をしているときは周りのみんなが全力でフォローしてくれるので、安心して臨めます。例えばオートバイショーでは頭上を駆け巡るオートバイの下に立って万一の事故に備える役をやることもあります。たまに肩をかすったりすることもあるのですが(笑)、何かあったときはエンジンなどの音でわかるので、見た目ほど危なくはないんです。相手のことを信頼すると同時に、そうした自分の感覚を信頼することも大切です。とはいえ怖いですけどね(笑)。 きっかけは5歳と中学2年生のとき Q4. どのようなきっかけでこのお仕事に就きましたか? 5歳のときに家族と木下サーカスを見に来て、「大きくなったらサーカスに入れる」と思いました。「入りたい」というより「入れるな」と思ったんですね(笑)。でも大きくなるにつれ現実が分かり、身体能力にも自信がなかったので、その思いはしばらく消えていました。ところが中学2年生のときに父が亡くなり、「中学を出たら働こう。どうせだったら自分のやりたいことを」と思って職業について調べたときに、"サーカス団員"という職業があることを知り、思いが再燃しました。早速木下サーカスのWebサイトを見たら、当時は中学を卒業して入った団員さんも紹介されていたので「これだ!」と思ったんですね。人と同じことをするのがあまり好きでなく、変わったことをしたいという思いもありました。ダメもとで木下サーカスに電話したところ、高校を卒業するよう勧められたので進学し、卒業後に改めて試験を受けて合格し、入団しました。 Q5.