体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、その絶望を乗り越えてゆくよすがを甘美に伝える表題作のほか、「手」「じゃこじゃこのビスケット」など、12篇を収録。濃密な江國香織の世界に浸れる短篇集。〈受賞情報〉直木賞(第130回) >> 続きを表示
分からない、分からない、 『号泣する準備はできていた』題名に惹かれ、選んだ1冊。江國香織さんの本を読むのは初めてのことだった。中に収録されている物語の題名を見ても、全くどんなことが書いてあるのか想像することができなかった。まず『前進、もしくは全身のように思われるもの』を読んだ。読み終わってからの第一声は、「分からない、分からない」であった。今まで読んできた本は、ストーリーに重点を置いて読んできていた。それは、この本を読んで気づいた。自分は、読み方に習慣(偏り)があったらしい。美術館での心持ちを思い出した。初めて美術館に連れていってもらった時、「私、全然芸術分からない」と呟いたら、「分かるとか、分からないの問題じゃないのよ。え?、とか、これなんか変、とかそういう心がちょっと動く瞬間があればいいのよ。」と教えてくれた大人がいた。この本は、美術館の心持ちで読まないと、読めない。収録されているどの物語も、激しい感情、う... 『号泣する準備はできていた』|感想・レビュー - 読書メーター. この感想を読む 5. 0 5. 0 PICKUP
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空気感が違う気がする」 辺りはまだ昼下がりだというのに、薄暗く温度もだいぶ冷えて感じていた。 サリーは吸い込まれるように館にはいっていった。 そこにはロージーという占い師さんが目を瞑りながらまっていた。 「こんにちは。あの、占っていただきたいのですが、よろしいですか?」 サリーはいつもより弱気な声質でひそかに伺った。 「ようこそ。わたしの名前はロージーよ。あなたは?」 「あ、サリーといいます。年齢は、にじゅ」 「名前だけで結構よ」 かぶさるようにロージーに言葉を止められた。 「あ、はい。よろしくお願いします」 「何を占ってほしいのかしら? 恋愛? 仕事? 号泣する準備はできていた 江國香織. はたまた人生?」 「えっと、全部ききたいのですが・・・・・・」 「なるほど。そうよね」と微笑みながら、ロージーはやっと目を開けた。 その瞬間ロージーの優しい目に鋭い驚きをサリーは見逃さなかった。 「あれ? なんか見えました?」 サリーはテヘヘと笑いながらロージーに問いた。 「あなた ・・・・・・ 近いうちに死ぬわよ」 「え ・・・・・・ ?」 サリーはわけが分からなかった。 「え? あのどうしてですか? なんで、わたしが? 人違いじゃ?」 「人違いなわけないわ。あなたを見ているんだもの。先が真っ暗闇に見える人は、未来が見えないのよ。なぜなら死んでしまう運命だから。あなたの周りは未来を感じさせない暗い暗いオーラが流れている。残念ですが」 「ちょ、まってください。どうしたら回避できますか? わたしまだ結婚も、なんなら恋愛すらできてなくて、もっとやりたいこともありますし」 サリーは言葉が溢れるように口から流れてきた。 「落ちつきなさい。運命はいつだってあなた次第。わたしから言えることはそれだけよ。悔いがある人生はもどかしい。やり残しちゃダメよ」 ロージーはそれだけ伝えると、サリーを帰らせた。 サリーはどん底の中にいた。 歩く足さえ方向が決められずモンゴルの大地をヨタヨタと歩いていたのだ。 涙さえ出ないこの感情。 無がうってつけのサリーがそこにはいた。 どれほど歩いただろう、変わらない景色の中をひたすら歩いていると一個のさびれた喫茶店のような店があった。 もしやここが最後の晩餐になるんではないかとすら思えてきた。 サリーはカラカラな喉に気付き、その喫茶店に迷うことなくはいっていった。 チリンチリン。 今にも鳴らなくなりそうな鈴が力なしになった。 そんな音にも幸せを感じ泣けてきそうだ。 下向き加減で席に座った。 メニューにはハンバーガーやピザなどサリーの好物が書かれていた。 目がかすれてくる。涙が溜まったせいだ。 手の甲で涙をガシガシ拭き、ピザとチーズハンバーガーを頼んだ。 「きっとわたしハンバーガーきたら泣いてしまうだろうな」と死に怯えて情けない自分に笑えてきた。 「お待たせー!
「ビールって、つめたいのもおいしいけど少しぬるくなったのもおいしいと思わない?
細いのによく食べるわね」 そんなことを明るく言われながらご飯が机に運ばれた。 サリーはふと顔をあげた。 ずっと下ばかり見つめていたサリーは、この店の雰囲気や机の配置など、この時初めて知った。 あぁこんなオシャレな喫茶店だったのかと。 その流れで料理を持ってきてくれた店員さんの顔を見上げた。 その瞬間。 「え! ?」 「え! ?」 2人は同時に声を出した。 そう、サリーと全く同じ姿をした人間がそこには立っていた。 店員さんからしたら、全く同じ姿のお客がいた。 絵:岡田千晶 「え? わたし?」 サリーは思わず言葉にしてしまった。 「あなたこそ」 店員さんもポカンと開いた口が塞がらなかった。 「私はサリー。あなたは?」 「私の名前はドリッサよ」 名前が違うことに一安心する2人。 サリーとドリッサは髪の長さも肌の色も身長も体型もソックリだった。 違うのは、性格と服装くらいだ。 「どうしてこんなに私みたいなのかしら?」 「こちらこそよ! こんなに同じ顔だなんてある?」 「ないですよね、絶対」 その時、サリーはゾッとした。 もしかして、近いうち死ぬって自分と全く同じ人間に会ってしまったからか?と妄想が膨らんでいった。 「これって、いわゆるドッペルゲンガー?ですかね」 サリーは店員に尋ねた。 「え? 短編小説の新しいかたち : 『号泣する準備はできていた』をテクストとして読む - 文学研究科 - 部局一覧 - 広島大学 学術情報リポジトリ. 妙なこといわないでよ」 「すいません」 「ねぇ、あなた今日時間ある?! わたしここのバイトがあと2時間で終わるから、そしたら改めて話さない?」 何かをひらめいたようにドリッサが誘ってきた。 「あ、うん。大丈夫です」 そして2時間後、辺りが真っ暗になった頃2人はまた集まった。 ドリッサのおうちが近くにあるため2人は歩いてドリッサの家へと向かいながら話していた。 「いやーさっきは本当にびっくりした。こんな同じ顔で体型まで一緒なんですもの。驚きすぎてなんだかそっけなくしちゃってごめんね? 改めて私の名前はドリッサ、年は26歳、O型。いまはバイトの掛け持ちしながら、いつか女優になるのが夢で、まぁ地道に頑張ってるの。あなたは?」 「へー。女優さんだなんてすごい。あ。わたしの名前はサリー。同じく26歳のO型。あは、ほんとに似てるね」 「血液型まで一緒だなんてね。サリーは何をしている人なの?」 「私は大学中退してから6年間世界を旅しているの。夢とか見つけたくて。でもまだ模索中ってとこかな」 「世界中を旅しているなんて素敵ね。でもさっき泣きそうな顔して店に来ていたけど、なんかあったの?」 「あぁ。いや、あの、モンゴルに来たのは実はあの伝説の占い館に行きたくてきたの。それで今日ドリッサの喫茶店に行くまさに前に行ってきたんだけどね。近いうち死ぬって言われて。はぁ。また思い出したら不安で不安で」 「あらそう。でもまぁ、所詮占いよ!
『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』予告編 - Netflix - YouTube
スリラー 2021/05/31 2021/05/05 『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』吹き替え声優一覧 放 送 : 2018年 Netflix 全1シーズン10話 原 題 : The Haunting of Hill House 原 作 : シャーリイ・ジャクスン(小説) 吹替翻訳:吉田真美 演 出 : 簑浦良平 イントロダクション シャーリー・ジャクソンの同名ホラー小説を原作に、おぞましい山荘での経験にいまも悩まされる家族の愛と再生を描く。 一家はなぜ山荘から逃げ出したのか?
『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』第10話の感想をお送りするぜ! とうとう最終回だ! もうね、意外なほどすげー綺麗に終わったよ。 いっこ前の話では「これどうやって収集つけるんだよ!?」と不安になったけど、見事に有終の美を飾ったよ! ラストで未練がましく続編への布石を打っちゃうのは海外ドラマの悪しき伝統だけど、『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』最終話は1時間10分という若干長めの尺をフルに使って丁寧に伏線を回収しまくり 一切続編作る気がないスタンス を存分に誇示してきたぜ。 話自体もアグレッシブに泣かせにきており、素直にホロリとしちゃったね。 以下の記事 ネタバレ注意!!
ヘンリー叔父さんの過去も同じく1話丸ごと使って説明されるのですが、こちらはブライマナーの外、ロンドンのオフィスでの出来事だしそもそも生きてるので記憶に囚われる理由が謎。また先述したように彼のみ立ち向かうべき相手が違うので本筋から離れてしまうのが辛い。半話くらいで収めて欲しかった。 4.まとめ ヒルハウスはホラーでありながら「家族の絆を取り戻す」物語でした。また、画面端に映り込むゴーストや赤い扉の部屋の伏線、6話の最高に気持ちいい長回しなど新しい見所が沢山ありました。それに比べると今作はちょっと地味かもしれません。それでも「記憶の迷路」のような頭の使い所があったり、映り込みゴーストたちも健在で楽しめる作りになっています。また、今作はホラーでありながらホラー要素はほとんどない(急にびっくりさせる描写が少ない)のでホラー苦手な人にも出来れば楽しんで欲しい。 これは怪談話ではなく、ラブストーリーなのですから
Written by: Shane Meiklejohn 恐ろしい悪夢で汗をかいて目を覚ましたことはあるだろうか。私たちみんな、どういうわけか何かしら恐れているものがある——暗闇、うつろに響く風の音、そして夜の奇妙な動物の鳴き声!! 『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』は、ホーンテッドマンションで実験台として一夜を過ごした6人——神経質なひきこもり、猟奇的な透視能力者、気楽な若い継承者、名高い超能力の教授、暴君的な降霊術者、そして彼女の尻にしかれた同僚——の恐怖と非現実的な経験を体感させてくれる。1959年に有名なミステリーライター、シャーリイ・ジャクスンによって執筆されたこのサスペンス小説は、その後、F. アンドリュー・レズリーによって舞台化さた。1963年には映画化もされ、1999年のリメイクではリアム・ニーソンが教授役、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが透視能力者役を演じた。多くの作品を残す作家ステファン・キングは、20世紀後半のホラー小説の最高傑作のひとつ、そして彼自身のベストセラー(『シャイニング』や『ローズレッド』など)にひらめきさえも与えたストーリーとしてこの作品の名前を挙げた。 横浜インターナショナルスクールの芸術学部は、『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』の著作をもとに、背筋がゾクゾク震えるようなユニークな雰囲気をつくり出そうと努めている。観客はこの独特な雰囲気とビクトリアの館の薄気味悪い装飾に引き込まれ、言葉を失うような気味の悪い音は皆をあぜんとさせるだろう。 ここで一夜を過ごす勇気はあるだろうか。『ザ・ホーンティング・ヒルハウス』は2016年1月28、29、30日、31日に横浜インターナショナルスクールのタナー・オーディトリアムで上演される。台本はニューヨークのドラマティスツ・プレイ・サービス社作成のものだ。小さいお子様の鑑賞には不適だろう。 詳細情報はこちらのウェブサイトから: