上野さーん」 おいおい、「呼びます」ってこういうことかよ? 病室からこんなにデカい声出すなよ。何考えているんだ。 「はーい、ここにいますよ」 えっ、ヘルパーまでコダマするの? 「今すぐ、55にきてくれませんか?」 ドタバタ走る音がしたかと思うと、その上野というヘルパーは僕のベッドまで来た。 「ごめんなさい。土生さんをレントゲンと心電図に連れて行ってもらえますか?」 「わかりました。車椅子いりますか?」 突然、カーテンが開き、上野ヘルパーが顔を出した。年齢は僕より少し上というところだろうか? 昨日もなにも、トド松 の声して:あかりん〜美谷朱里:. 老人介護の現場にいるヘルパーのような恰好をしている。 「大丈夫です、歩けますから」 「じゃあ、土生さん、上野さんについていって」 「終わったら、電話してもらえば迎えに行きますが……」 「そうしてもらえますか?」 「土生さん、上野と申します。心電図もレントゲンも地下なので、エレベーターで行きましょう」 「よろしくお願いいたします」 僕はベッドから降り、スリッパを履き、上野さんについていった。 「じゃあね、またあとで」 手を振る宮前看護師を尻目に、僕は上野ヘルパーと病室を出て行った。 上野ヘルパーと病室を出てはみたものの、改めて見ると汚らしい病棟だ。夜にお化けが出そうな雰囲気だ。変わらず多くの医師や看護師、患者が右往左往している。何をあわてているんだ。そもそも「血液内科」ってなんだ? なんで僕は「血液内科」というところにいるんだ? 生まれてこのかた、「血液内科」という科があるなんて、先日初めて知った。 血液内科の部屋の数は、一、二、三、四、五。全部で五つだ。一部屋に六人患者がいるから計三十人がマックスの患者数になるわけだな。どうやら僕の部屋はその真ん中の三番目。四番目と五番目は女性患者がひっきりなしに出入りしているから女性部屋ということか。 そんなことを考えていたら、血液内科の受付を通り過ぎた。すぐそばにあるエレベーターに乗らずに、上野ヘルパーは左折した。 「あれ? 心電図とレントゲンって地下ですよね?」 「血液内科のエレベーター使うと、かえって遠回りなんですよ」 僕はあたりをキョロキョロ見回しながら、上野ヘルパーのあとをついていった。五十メートルくらい歩くと突然、あたりが新しくなった。 「この病院はツギハギだらけでしょう?」 確かにさっきまでいた血液内科の棟とは明らかに違う。 「ということは、僕がいる血液内科は未だに工事の予定なしなんですか?」 「順次、改装して、ようやく来年、改装みたいですね」 「来年ですか」 「その頃は、土生さんはいませんからね」 喜んでいいのやら、悪いのやら。複雑な気持ちになった。 そうこうしているうちに「最新鋭のエレベーター」の前に着いた。 「このエレベーター、汐留のビルみたいに最新ですね」 「ここは外科なの。頻繁に患者さんを運んでいるからたぶん、エレベーターは来ないでしょう」 上野ヘルパーは最新のエレベーターを横目に、また左折した。 「このエレベーターに乗るんじゃないんですね」 「あっちのエレベーターで行きましょう」 一〇〇メートルくらい歩くと、少し古ぼけた棟のエレベーター前に着いた。 「この下がちょうど、レントゲン室なので」 と言われても僕には何がなんだかわからない。こんなに迷路のようで、患者は不自由していないのだろうか?
「土生さん、エレベーター来ましたよ」 僕は上野ヘルパーの言われるままにエレベーターに乗り込んだ。 病院というのは本当に陰気くさい。アロマを炊くとか、綺麗な壁紙を貼るとか。そういう発想はないのだろうか? 「土生さん、まずはレントゲンからね。私、レントゲン室の外で待っていますから」 僕は一礼して、レントゲン室に入った。この病院に来るまでにさまざまな検査を受けてきたけど、確かレントゲンも受けたはずだが、また受けるのか? 単なる診療報酬稼ぎか? 「土生葉月さんですね」 「はい」 「生年月日をお願いします」 「昭和で? 西暦で?」 「お好きなほうでいいですよ」 「昭和三十九年八月八日」 「はい、OKです。では、そのままでパジャマ脱がなくていいですから、ここに顎を置いて、私が『はい』と言ったら息を止めてください。わかりますよね? 【在宅勤務】あるある体験談!. いつもと同じレントゲンですから」 「はあ……」 僕は技師の言われるままにレントゲン台の上に乗り、顎を一番上につけて、肺を機械に着けた。 「それではいきますよ。いいですか」 「ハハハ、土生さん面白いですね。私が言う前に『はい』と言ったりして」 「すみません」 「では、いきます。『はい』息をとめて」 この瞬間、昔から嫌だった。どうして息を止めないとレントゲンは撮影できないのだろうか? いつも疑問に思っていた。 「はい、お疲れ様でした。次は心電図ですよね。行き方わかりますか?」 「外にヘルパーさんがいますので」 「はい、お疲れ様でした」 「ありがとうございました」 特に着衣の乱れもなく、そのまま僕はレントゲン室を出た。レントゲンというやつは、ワイシャツはだめなのに、パジャマは着ていてもいいんだな。 「ここが心電図室です。たぶん、時間かかるので、終わったら電話してもらうよう手配しておきますから。土生さんは終わったら、ここで待っていてくださいね」 「はい、わかりました」 レントゲン室からここまで来るのさえわからなかったのに、まして、病室に一人で無事に戻れるかわからない。 「次の次が土生さんらしいですから、呼ばれるまで待っていてください。私はいったん、病棟に戻ります」 上野ヘルパーはそう言うと迷うことなく、廊下を歩き、あっという間に姿が見えなくなってしまった。ヘルパーって実は忍者? 「土生さーん」 数分ボーッとして待っていたら、僕の番が来た。心電図か。僕の病気とどういう関係があるんだ?
人気コスプレイヤーの えなこ が28日、自身のツイッターを更新し、パジャマ姿の写真を公開した。 えなこは「こういうパジャマかわいいよね」と、肩を大胆に出したパジャマ姿の写真を2枚投稿。この姿にファンからは「めっちゃかわいい」「めっちゃ似合ってる」「平常心保てないかわいさ」「刺激が強すぎるーーっ!! 」などと反応している。 (最終更新:2021-06-29 14:11) オリコントピックス あなたにおすすめの記事
イヤだぁ。 トピ内ID: 8411329817 咲 2020年9月11日 12:04 会社だけは嫌ですね。あとは許せます。 ただ、私は逆です。 ベッドもしくはお布団に寝るやつは清潔なやつにしてほしいから部屋着を外に着て行って欲しくない。 特にコロナ期、別にしてほしいです。 トピ内ID: 3338713454 🐶 茜 2020年9月11日 12:13 Tシャツなどの普段着として着られるものを着ているから そのまま外に行ってしまうのだから 明らかにそれはパジャマ!と分かる服を寝る時は着てもらえば? そんな事を気にしてない人に ガミガミ怒っても北風と太陽で逆効果なんだから ムカつくのはよーく分かるけど そんなにムカつくなら着替えないと外に行けないような選択をしてもらわないと。 まぁそうは言っても気にしてない人だと そんなものを選んでもしれーっと散歩に行くかも知れないけど。 あんまりガミガミ言ってると そのまま出てっちゃうかも知れないよ~ トピ内ID: 7224829604 マスクマン 2020年9月11日 13:13 お風呂の後に着たTシャツと短パンで次の日も一日すごしていますよ。 パジャマというか部屋着ですよね。 庭ならそのまま出ちゃうし、ゴミ捨てや近所のコンビニくらいなら短パンを着替えてそのまま行っちゃいますね。 さすがにスーパーとかちょっと遠いところに行くなら着替えるけど、そんなにキレることなんでしょうか。 会社行くとき部屋着のTシャツで行って会社で着替えているなら、平日はもっとちゃんとしたシャツに着替えてもらえばいいだけで、休日は好きにしていいと思いますよ。 どちらにしろキレることはないですよね。 結局、トピ主さんは何に怒ってるんですか? 朝、部屋着のTシャツを着替えずに一日中過ごしてること? それとも外出するのに部屋着のTシャツを着替えないこと? それとも上記のことを会社に行くときもやってること? 休日もダメ? どれにしても今更 気づいて怒るのっておかしくないですか? √完了しました! ね ない こ だれ だ 画像 207940. ずっと一緒に暮らしていたのに、今更気づいた貴女にびっくりですよ。 トピ内ID: 4385457031 たかこ 2020年9月11日 13:15 幼稚園に通っているお子さん以外に 「下らないことで朝からキレすぎ」と親にハッキリ言える年ごろのお子さんもいらっしゃるんでしょうか その息子さんが何歳なのかわかりませんが 親に意見しなきゃならないほど聞いてて嫌な気持ちだったんだろうと思います まぁTシャツと言えど一晩布団に揉まれて張りも失ったクタクタの状態ならば 通勤やおでかけには洗い立てに着替えた方がいいかな?とは思いますが 犬の散歩やゴミ捨てなどは私は気にならないです そしてキレて威圧的に相手に文句を言うのも これまた品のない行為だなぁと思うんです 感情で物を言う姿は子供は見たくないんだと思う それから今まで朝に着替えていないのは全く知らなかったんでしょうか 妻なら気付くと思いますが 朝起きる時間が別々なのかな?
この小説は2008年10月に私に「実際に起きたこ」とを小説にし、出版しましたが、完売! !多くの方々から「復刻版」の希望を受けた内容です。この度「復刻版」を出版する前に全編、皆様にご披露します。できるだけ「書いた中身」を替えないでそのまま掲載したいと思います。 なお、時代は13年前なので、その点をご容赦ください。 内容は「真実」ですが、人名、病院名などは別名にしてあります。 まえがき 「二人に一人はガンになる時代」と言われ、はや数年が過ぎた。この間、毎年新規のガン患者は七十万人ずつ増えている。にもかかわらず、どうして、日本人は「ガン」に対して、こんなにも無知で、無関心なのだろうか? 自分の身内が「ガン」になっても、時間が経てば忘れてしまう。好きな芸能人が「ガン」で亡くなっても不感症だ。 「ガン」は「風邪」と同じく、いつ、誰が発症してもおかしくない「病気」だ。確かに九十年代までは「ガン」と「死」はイコールに近かったかもしれない。だが、ガンで助かる率も少しずつではあるが増えてきた。「病気はガンだけじゃないよ」と文句を言う人がいるかもしれない。その通りだ。心筋梗塞、肺炎、AIDSなど、日本人が亡くなる病気はガンだけではない。だが、「二人に一人」もかかるというガンに対して、日本人はあまりにも無関心すぎるのではないだろうか? 前述したが「ガン」は「風邪」と同じく、誰もがいつでも発症する病気なのだ。 ここに一人の青年がいる。と言っても、すでに四十歳を超えた立派な大人だ。彼はスポーツマンで、過去に一度も健康診断で引っかかったことがない、いわゆる「健康優良児」だ。しかし、ある日、それは突然やってきた。 「あなた、死にます」 青年はおののいた。「死ぬって、どういうことですか?」 これから紹介する物語はフィクションではありません。事実に基づいた「物語」です。物語に出てくる大学名、主人公・看護師名などは、もちろん仮名です。 この物語によって、現在「ガン」で苦しんでいる患者さん、それを支える家族の方々、また、ガンで身内・知り合いを失った人達に、少しでも共感いただければ幸いです。稚拙な文章であることはご容赦ください。 I have a dream 暗いくらい闇の中 あたりはひっそりしている 湖に浮かぶ一艘の白い小舟 僕はその小舟の中で一人寝ている どこかから聞こえて来るふくろうや動物達の鳴き声 それ以外に誰もいない パープル色の不気味な夜 僕は船の上で静かに寝ている アンニ=フリード・リングスタッドが歌うI have a dreamが静かに湖を覆う 僕はこのままどこへ向かうのか?
LINEマンガにアクセスいただき誠にありがとうございます。 本サービスは日本国内でのみご利用いただけます。 Thank you for accessing the LINE Manga service. Unfortunately, this service can only be used from Japan.
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