写真1 使用した商用トランス 図2 トランス内部定数 シミュレーションで正確な電圧・電流を求めるためには部品の正確なモデリングが重要. ●LTspiceで確認する全波整流回路の動作 図3 は, 図1 をシミュレーションする回路図です.トランスは 図2 の値を入れ,整流ダイオードはLTspiceにモデルがあったローム製「RBR5L60A(60V・5A)」としました. 図3 図1のシミュレーション回路図 電圧と電流のシミュレーション結果を 図4 に示します.シミュレーションは[Transient]で行い,電源投入100秒後から40msの値を取っています.定常状態ではトランス一次側に直流電流(Average)は流れませんが,結果からは0. 3%以下の直流分があります.データ取得までの時間を長くするとシミュレーション時間が長くなるので,誤差も1%以下であることからこのようにしています. 図4 電圧と電流のミュレーション結果 ミュレーション結果は,次のようになりました. ◎ Vout= 30. 726V ◎ Pout= 62. 939W ◎ Iout= 2. 0484A ◎ Vr = 2. 967Vp-p ◎ Ir = 3. 2907Arms ◎ I 2 = 3. 8692Arms ◎ Iin = 0. 99082Arms Iinは,概算の1. 【基礎から学ぶ電子回路】 ダイオードの動作原理 | ふらっつのメモ帳. 06Armsに対し,0. 99Armsと少し小さくなりましたが,近似式は十分な精度を持っていることが分かりました. 交流電力には,有効電力(W)や無効電力(var),皮相電力(VA)があります.シミュレーションで瞬時電力を求めた結果は 図5 になりました. 図5 瞬時電力のシミュレーション結果 シミュレーション結果は,次のようになりました. ◎ 有効電力:71. 422W ◎ 無効電力:68. 674var ◎ 皮相電力:99. 082VA ◎ 力 率:0. 721 ◎ 効 率:88. 12% ◎ 内部損失:8. 483W 整流ダイオードに低損失のショットキ・バリア・ダイオードを使用したにもかかわらず効率が90%以下になっています.現在では,効率90%以上なので小型・高効率のスイッチング電源の使用がほとんどになっている事情が分かります. ●整流回路は交流定格電流に対し直流出力電流を半分程度で使用する コンデンサ入力の整流回路を実際に製作する場合には,トランス二次電流(I 2)が定格の3Armsを超えて3.
■問題 馬場 清太郎 Seitaro Baba 図1 の回路は,商用トランス(T 1)を使用した全波整流回路です.T 1 は,定格が100V:24V/3A,巻き線比が「N 1:N 2 =100:25. 7」,巻き線抵抗が一次3. 16Ω,二次0. 24Ωです.この場合,入力周波数(fs)が50Hz,入力電圧(Vin)が100Vrmsで,出力直流電圧(Vout)が約30Vのとき,一次側入力電流(Iin)は次の(A)~(D)のうちどれでしょうか? 図1 全波整流回路 商用トランスを使用した全波整流回路. (A) 約0. 6Arms,(B) 約0. 8Arms,(C) 約1. 0Arms,(D) 約1. 2Arms ■ヒント 出力直流電流(Iout)は,一次側から供給されます.平滑コンデンサ(C 1)に流れるリプル電流(Ir)も一次側から供給されます.解答のポイントは,リプル電流をどの程度見込むかと言うことになります. (C) 約1. 0Arms トランス二次側出力電流(I 2)は,C 1 に流れるリプル電流(Ir)と出力電流(Iout)のベクトル和で表され下記の式1となります. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) また,Irは,近似的に式2で表されます. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) 式1と式2に数値を代入すると「Vout≒30V」から「Iout≒2A」,「Ir≒3. 63A」となって,「I 2 ≒4. 14A」となります.IinとI 2 の比は,式3のように巻き線比に反比例することから, ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) Iin≒1. 06Aとなり,回答は(C)となります. 全波整流回路の正確な電圧・電流の求め方 | CQ出版社 オンライン・サポート・サイト CQ connect. ■解説 ●整流回路は非線形回路 一般に電子回路は,直流電源で動作するため,100Vから200Vの商用交流電源を降圧・整流して直流電源に変換することが必要になってきます.最近ではこの用途にスイッチング電源(AC-DCコンバータ)を使用することがほとんどですが,ここでは,以前よく使われていた商用トランスの全波整流回路を紹介します. 整流回路の特徴で注意すべき点は,非線形回路であると言うことです.一般的に非線形回路は代数式で電圧・電流を求めることができず,実測もしくはシミュレーションで求めます.式2は,特定の条件で成立する近似式です.シミュレーションで正確な電圧・電流を求めるために必要なことは,部品のある程度正確なモデリングです.トランスの正確なモデリングは非常に難しいのですが,ここでは手元にあった 写真1 のトランスを 図2 のようにモデリングしました.インダクタンスは,LCRメータ(1kHz)で測定した値を10倍しました.これはトランスの鉄芯は磁束密度により透磁率が大幅に変化するのを考慮したためです.
~電子と正孔について ◎ダイオードの動作原理 ◎理想ダイオードの特性とダイオードの近似回路 ◎ダイオードのクリッピング作用 ~ダイオードで波形をカットする ◎ダイオードと並列に繋がれた回路の考え方 ◎トランジスタの動作原理 ◎バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタの違い ◎トランジスタの増幅作用 ◎ダイオードとトランジスタの関係
2V のときには出力電圧が 0Vより大きくなり電流が流れ出すことが分かる。 出力電圧波形 上記で導き出した関係をグラフにすると、次のようになる。 言葉にすると、 電源電圧が+/-に関わらず、出力電圧は+電圧 出力電圧は|電源電圧|-1. 2V |電源電圧|<=1. 2V のときは、出力電圧=0V これが全波整流回路の動作原理である。 AC100V、AC200Vを全波整流したとき 上で見たように、出力電圧は|電源電圧|-1. 2V で、|電源電圧|<=1. 2V のときは出力電圧=0V。 この出力電圧が 0V は、電源電圧が 10V程度では非常に気になる存在である。 しかし、AC100V(実効値で 100V)、つまり瞬時値の最大電圧 144V(=100×√2) の場合は 1. 2V は最大電圧の 1%程度に相当し、ほとんど気にならなくなる。ましてや AC200V では、グラフを書いてもほとんど見えない。 (注)144V の逆電圧に耐える整流タイプのダイオードだと順方向電圧は 1V程度になるので、出力 0V になるのは |電源電圧|< 2V。 というわけで、電源電圧が高くなると、出力電圧は|電源電圧|に等しいと考えてもほぼ間違いはない。 まとめ 全波整流回路の動作は、次の原理に従う。 ダイオードに電流が流れるときの大原則 は 順方向電圧降下 V F (0. 6Vの電位差)が生じる その結果、 電源電圧と出力電圧の関係 は次のようにまとめられる。 出力電圧は|電源電圧|-(V F ×2) [V] |電源電圧|<=(V F ×2) のときは、出力電圧=0V 関連記事 ・ ダイオードの回路を理解・設計する最重要ポイントは電位差0. 6V ・ クランプ回路はダイオードを利用して過電圧や静電気からArduinoを守る
全波整流回路の電流の流れと出力電圧 これまでの2つの回路における電流の流れ方は理解できただろうか? それではこの記事の本番である全波整流回路の電流の流れを理解してみよう。 すぐ上の電流の流れの解説の回路図の動作と比較しやすいように、ダイオードを横向きに描いている。 電源が±10Vの正弦波としたとき、+5V と -5V の場合の電流の流れと、そのときの出力電圧(抵抗両端にかかる電圧)はどうなるだろうか? +電位のとき +5Vのときの電位 を回路図に記入した。なお、グランドを交流電源の Nラインに接続した。 この状態では、電源より右側の2つのダイオードのどちらを電流が流れるか?そして、電源より左側のダイオードはどちらに電流が流れるだろうか? 電流の流れ 答えは下の図のようになる。 右側のダイオードでは、 アノード側の電位の高いほう(+5V) に電流が流れる。 左側のダイオードでは、 カソード側の電位の低いほう(0V) に電流が流れる。そして、 出力電圧は 3. 8V = 5-(0. 6×2) V となる。 もし、?? ?ならば、もう一度、下記のリンク先の説明をじっくり読んでほしい。 ・ 電位の高いほうから ・ 電位の低いほうから -電位のとき -5Vのとき の電位と電流、出力電圧は下図のようになる。 交流電源を流れる電流の向きは逆になるが、抵抗にかかる電圧は右のほうが高く 3. 8V。 +5Vのときと同じ である。 +1. 2V未満のとき それでは次に+1. 2V未満として、+1. 0Vのときはどうなるか?考えてみて欲しい。 電流は…流れる? 「ダイオードと電源」セットが並列に接続されたときの原則: 「電源+ダイオード(カソード共通)」のときは 電位の高いほうから流れ出す 「(アノード共通)ダイオード+電源」のときは 電位の低いほうへ流れ出す と、 ダイオードに電流が流れると0. 6V電位差が生じる 原則を回路に当てはめると、次の図のようになる。 抵抗の左側の電位が+0. 6V、右側の電位が +0. 4V となり電流は左から右へ流れる…のは電源からの電流の流れと 矛盾 してしまう。 というわけで、 電源が +1. 0V のときには電流は流れない ことになる。 同じように-電圧のときも考えてみると、結果、|電源電圧|<=1. 2V (| |記号は絶対値記号)のときには電流が流れず、|電源電圧|>1.
TPNW 核兵器禁止条約の署名・批准の状況 各国の核兵器禁止条約(Treaty on Prohibition of Nuclear Weapons(TPNW))の署名・批准の状況については次表のとおりです。(2021年7月9日時点) 署名国 86か国 批准国 55か国 条約発効に必要な批准国は50か国であり、2021年1月22日に条約は発効しました。 核兵器禁止条約とは?
「核兵器の終わりの始まりです」。 1月22日、核兵器禁止条約が発効される。核保有国や「核の傘」に守られていると考える日本などが参加していない条約だが、それでも非常に重要な一歩。条約成立に尽力しノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)国際運営委員の川崎哲さんは、 「すぐに核兵器ゼロ」とはいかなくても、この条約が核兵器を「使えない武器」にするために担う意義は大きい と解説する。 核兵器禁止条約とはどんなものなのか? JIIA -日本国際問題研究所-. 核なき世界のために私たちにできることはあるのか? 核兵器禁止条約とは? ▼史上初「 非人道的で違法」とする条約 ▼核兵器の開発・保有・使用・威嚇・援助全て禁止 まず、核兵器禁止条約とは、核兵器を「非人道的で違法」とした、史上初の条約だ。核兵器を完全に廃絶することを目指し、核兵器の開発・保有・使用・威嚇・援助などすべてを禁止している。一部の国に核兵器の保有を容認する「核不拡散条約(NPT)」とは大きく異なるアプローチだ。 さらに、締約国は核兵器や核実験の被害を受けた人々に医療などの援助を行う義務や汚染された環境を回復する義務を負うという点も画期的だ。 「核兵器は、絶対にあってはいけないものだ」ということを初めて国際社会が宣言する。新しい規範を作る条約なんです。広島・長崎の経験から日本では、被爆は「二度と起こしてはならない」と学校で習ってきましたが、世界の人たちはそうではない。核兵器は酷いものではあるけれど、「持っている国が大国であり、力の象徴」という風に見られてきたわけです(川崎さん)。 条約は国連会議での協議を経て2017年7月7日に採択された。条約は50カ国が批准(それぞれの国会で承認)してから90日後に発効するとされており、2021年1月22日が発効の日となる。 条約が発効した後、1年以内に最初の締約国会議が開催される。その後2年ごとに会議が開かれ、発効から5年後に再検討会議も開かれる。 日本の参加は?
まずは「話題にする」 議員・金融機関への問い合わせも 核兵器禁止条約の効力をより高めていくためには、批准する国の数を増やすことが有効だ。しかし、日本政府が参加していない中で、私たち一人一人は核兵器をなくすためにどんなことができるだろうか?