今回の財務会計論の特徴は、個別論点の理論問題が少なめ、総合問題の難易度が高いという点でした。理論問題が少ないとどうしても時間的制約が厳しくなるうえ、商品有高帳(問題4)、S/S(問題8)、キャッシュ・フロー計算書(問題11)のような、そう難しくはないけれど手間の掛かる問題が多く、総合問題をばっさり切り捨てるのも勇気がいる・・・という精神的に厳しい出題であった印象です。 以下、誤っている記述を中心に個別に確認していきます。 詳細な解説はこちらです。 問題1:財務会計の基礎概念*** 資産負債アプローチと収益費用アプローチからの出題でした。「財務会計の概念フレームワーク」が資産負債アプローチを多分に意識した内容となっているので、資産負債アプローチの考え方かどうかは「財務会計の概念フレームワーク」を指針として判断すると正誤が判定しやすかったでしょう。 ウ. 簿記論 出題予想 平成28年 第66回税理士試験. 研究開発費等の論点としても確認しているとおり、研究開発費の資産計上は、その成果の獲得の蓋然性が問題となります。 エ. 収益費用アプローチによると、除去時の支出は資産の使用に応じて費用計上し、それに見合うだけの引当金が計上されることになります。資産除去債務は将来の除去時の支払義務を負債計上する、という資産負債アプローチの考え方を基礎としています。デリバティブの正味の債権債務の計上も、資産負債を公正価値で積極的に評価しようとする資産負債アプローチに基づくものです。 問題2:収益認識に関する会計基準*** 収益認識基準が正面から出題されました。抽象的で難しい内容ですが、用語の定義や要件と言った導入部分から多く出題されたので、対策していた受験生も多かったはずです。 ア. 記述の内容から前受金がイメージできれば、契約資産ではなく契約負債と誤りが判断できたでしょう。 イ. 契約の識別の要件5つの内の1つ、「対価を回収する可能性の高さ」が求められます。 問題3:当座勘定、貸倒引当金、社債の償還、外貨建取引*** 4つの会計事象につき会計処理が求められました。どれも簡単な計算です。 問題4:棚卸資産*** 会計士試験では珍しい、商品有高帳を記入して期末残高を求める計算問題でした。多少手間は掛かりますが、〔資料〕の商品有高帳に必要な数値を記入して要領よく計算できれば確実に得点できたと思います。 問題5:棚卸資産** 棚卸資産の期末評価の問題です。収益性の低下と内部利益の控除の論点が含まれています。管理会計論で取り上げている「有償支給外注加工」と類似の問題ですので、半製品や製品に含まれている材料Aの個数さえ間違えなければ解けたと思いますが、会計士試験では珍しい出題ですし、対策もしていなかったでしょうから間違えてしまったかもしれません。 問題6:賃貸等不動産* 賃貸等不動産の時価の開示に関する問題です。この分野からおそらく初めての計算問題の出題です。遊休不動産も開示対象である、連結財務諸表なので子会社の使用は賃貸にならない、といった点がポイントでした。できなくても問題なしです。 問題7:引当金*** ウ.
企業結合の取得原価の算定において、合意公表日ではなく企業結合日の株価が基礎となります。 エ. 子会社株式の追加取得では、追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は、資本剰余金となります。 ア. の事業分離の移転損益の認識の是非等は、場合分けも多いので受験上スルーでもいいと思いますが、イウエでなんとか正答したい問題です。 問題23~28:総合問題 親会社であるP社は、子会社S1社から材料を仕入れ、これに加工作業を施して、完成品を子会社S2へ販売しています。 子会社に販売する製品Aには、P社が付加した内部利益の他に、S1社が材料に付加した内部利益も含まれています。前者はダウンストリームで、後者はアップストリームで処理する必要があります。 論点はこれだけです。知らない仕訳、難しい仕訳は一つもありません。 それでも、未実現利益の連結修正仕訳の処理量が多かったため、平均的な受験生は、正確に金額の集計ができず、連鎖的に、問題24、25、26、28を失うことになったはずです。 ただ、計算処理能力の高い受験生であれば、全問正解できた問題です。 連結の総合問題としては、これくらいの難易度、計算量の問題がスタンダードになります。 今回できなかった受験生は、繰り返し解いて、計算処理能力の高い受験生を目指して下さい。
簿記論 税効果会計 よろしくお願いします。 会計上と税務上のズレが発生したら税効果会計を適用して会計処理を行いますが、 この資産負債のズレの原因は、損益のズレとそれ以外のズレによって生じるものだと、専門学校の教科書に書いてあります。 この会計処理自体は理解ができているのですが、 資産除去債務の場合はどうなのでしょう? 固定資産を取得した際、まず最初に計上した資産除去債務の金額だけ資産も負債もズレが発生しますが このズレは、損益のズレが原因ではなく損益のズレ以外によるものということですか?? このズレが発生した時点の仕訳は、 繰延税金資産○○/繰延税金負債○○ ということになりますか? 損益のズレが原因ではないから、法人税等調整額は発生しない??ということですか?
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