© アスキー 提供 CC By Michael Murphy 今回は、暑い時期に特に飲みたくなる炭酸飲料を使って、子どもと簡単にできる科学実験をご紹介します。炭酸飲料を使った実験として有名な"メントスコーラ"は、ショーなどで出会う子どもたちが「YouTubeで見たことある」「今度やってみたい」と伝えに来てくれることが多いです。 子どもたちに大人気のメントスコーラや炭酸飲料を使った実験について、実験手順や原理をご紹介していきたいと思います。結果がどうなるか、ということに加え、なぜそうなるのか?ということを子どもたちと一緒に考えるきっかけとなれば嬉しいです。 それでは今日も、レッツサイエンス! ※屋内での実験を想定しています。自宅で実験をする場合、部屋が汚れないように浴室で行なうか、ビニールを敷くなどしてください ■自己紹介 科学のお姉さんこと五十嵐美樹(twitter:@igamiki0319)です。全国各地で子どもたちにむけた科学実験教室やサイエンスショーなどを開催しています。 ワークショップやサイエンスショーが終わった後に実験材料などをお問い合わせいただくことが多いため、本連載では、これまでの科学実験教室で人気の高かった科学実験・科学工作を例に、お家で手軽に子どもと一緒に楽しめる科学に関する情報をお届けしていきたいと思います。 炭酸飲料を使った科学実験で楽しむ五十嵐美樹 ■炭酸飲料にメントスを入れると…? まずは、YouTubeなどでご覧になったことがある方も多いかと思いますが、炭酸飲料にメントスを入れてみます。 【用意するもの】 ・炭酸飲料水(1. 炭酸水素ナトリウムの組成式は、なぜNaHCO₃になるのですか?Na+と、H+と、CO - Clear. 5L) ・メントス ・大きめのお鍋や桶 用意するもの 【実験手順】 1. 大きめのお鍋や桶の中に炭酸飲料を置きます。 2. 炭酸飲料のふたを開けて、メントスを入れます。 【実験結果】 炭酸飲料にメントスを入れると、写真のようにものすごい勢いで炭酸飲料が噴き出しました。 炭酸飲料にメントスを入れると、炭酸飲料が噴き出す ■そもそも炭酸飲料とはなにか? 炭酸飲料は、水に圧力をかけて二酸化炭素を溶かし込んで作られています。水に二酸化炭素が溶けることは、小学6年生の「水溶液の性質」で学習します。水の入ったペットボトルに二酸化炭素を吹き込んで蓋をした状態でよく振ると、二酸化炭素が水に溶けることでペットボトルがボコッとへこむ様子が確認できます。 水に二酸化炭素が溶けて、ペットボトルがへこむ ただ炭酸飲料にするには、もっと水に二酸化炭素が溶け込まないといけません。そこで、どんどん圧力を加えていきます。液体に溶ける気体の量は圧力に比例するという「ヘンリーの法則」が成り立つため、高い圧力をかけることで二酸化炭素が水に溶け込んでいくのです。このようにして、炭酸飲料は作られています。 ■なぜコーラにメントスを入れると噴き出たのか?
炭酸飲料にラムネを入れると、泡がたくさん出ました。塩や氷の時と同じようにラムネが炭酸飲料に入る時の刺激で、二酸化炭素逃げ出しました。ただ、他にも理由があります。 ラムネの主成分は重曹(炭酸水素ナトリウム)。炭酸水素ナトリウムは熱を加えたり酸性の物質と反応したりすると二酸化炭素を発生します。炭酸水はほとんどの場合、先ほどの紫キャベツの実験でも分かったとおり弱酸性(飲料によって酸性度は異なります)なので、炭酸飲料にラムネを入れると二酸化炭素を発生させます。炭酸飲料の泡はもともと二酸化炭素なので、それがさらに発生したということになります。 炭酸飲料にラムネを入れると、泡が出る ■まとめ 今回は、炭酸飲料という切り口で、身近なもので楽しみながら学べる科学実験をご紹介しました。炭酸飲料に多様なものを入れたときの変化や原理の違いについて、実際に自分の手で実験しながら考えるととても楽しいです。他にもご家庭にある色々なものを入れてみて泡が出るのか予想して実験してみたり、泡が出るまでに時間をはかってみたり、どれくらいの勢いで泡が出たのかなどを観察してみたりすると面白いです。 お家で過ごすことが増えた今、ぜひお子さまと試してみてください! ■注意事項 ・小学生など低年齢の子どもが実験を行なうときは、必ず保護者の指導のもとで行なってください。 ・汚れても良い場所や服装で実験してください。 ・噴き出した炭酸飲料はべたべたすることがありますので、注意しながらしっかりと後片付けをしてください。 ・炭酸飲料の蓋を開けるときや、実験をする時は人に向けないように注意してください。 ・炭酸飲料と今回実験したものは、一緒に飲み込んだりしないようにしてください。 ■参考文献 Diet Coke and Mentos: What is really behind this physical reaction? Probing the Mechanism of Bubble Nucleation in and the Effect of Atmospheric Pressure on the Candy–Cola Soda Geyser 内田洋行教育総合研究所『泡のひみつ』 「ガリレオ工房の身近な道具で大実験 第2集」 滝川洋二・吉村利明著 大月書店 ワオ!科学実験ナビ『炭酸水にラムネを入れよう!』
【プロ講師解説】このページでは『炭酸ナトリウムNa 2 CO 3 の工業的製法「アンモニアソーダ法」(仕組みや覚え方など)』について反応式や図を用いて解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。 アンモニアソーダ法とは 塩化ナトリウムNaClや石灰石CaCO 3 を原料とした炭酸ナトリウムNa 2 CO 3 の工業的製法を アンモニアソーダ法 といい、ベルギー人の化学者であるエルネスト・ソルベーが考えたことから ソルベー法 とも呼ばれる。 アンモニアソーダ法の仕組み STEP1 石灰石CaCO 3 を熱分解する STEP2 生石灰CaOを水に溶かす STEP3 消石灰Ca(OH) 2 と塩化アンモニウムNH 4 Clを反応させる STEP4 塩化ナトリウムNaClの飽和水溶液にNH 3 、CO 2 を順に吹き込む STEP5 炭酸水素ナトリウムNaHCO 3 を熱分解する P o int!