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54)の間に有意な相関を認めた(p<0. 05)。
【考察】本研究の結果より、円背姿勢を修正する能力が低い者ほど体幹筋力が弱いことが明らかとなった。特に円背姿勢を呈する高齢者の胸椎後彎角増大を改善するには体幹伸展筋力が大きく寄与する可能性が示された。また、体幹屈曲筋力が弱い者ほど姿勢修正時の腰椎前彎変化率が増大することから、弱化した筋の部位から姿勢を修正する動作に違いが生じる可能性があると考えられる。今後はより効率的に円背姿勢を改善するため、さらに詳細な動作パターンの分析が必要と考える。
Journal
Congress of the Japanese Physical Therapy Association
Japanese Physical Therapy Association (JPTA)
抄録 【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。 【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80. 9±5. 2歳、C群(男性4名、女性6名)で79. 4±5. 5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG, Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。 【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1. 5°、腰椎角で1. 7°、全体傾斜角で0. 5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11. 4°腰椎角で10. 4°、全体傾斜角で1. 6°伸展方向へ変化した(p<0. 05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0. 05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0. 円背進行により日常生活に支障を来した症例に対する4ヶ月間の外来理学療法の経験. 55、p<0. 05)。体幹伸展筋力はC群で0. 32N/kg減少し、Ex群で0. 84N/kg増加した(p<0.
Author(s)
篠原 博
サザンクリニック整形外科・内科
坂光 徹彦
福原リハビリテーション整形外科・内科医院
山本 竜
Abstract
【目的】高齢者の姿勢変化で最も多いものは円背姿勢であるといわれている(高井ら、2001)。しかし、円背姿勢と体幹筋力の関係については、背筋力との相関を認めた報告(宮腰ら、2005)や円背群と非円背群の体幹筋力に差はないとする報告(吉田ら、2003)などがあり統一した見解を得られていない。筆者らは高齢者の円背姿勢を修正する際の体幹の可動性と体幹伸展筋力に関係があるのではないかと仮説を立てた。本研究は高齢者の円背姿勢を修正する能力と体幹筋力との関係を明確にすることを目的とした。
【方法】対象は円背を呈する高齢者14名(男性3名、女性11名)とした。平均年齢は77. 7±5. 7歳、身長は150. 2±6. 5cm、体重は57. 0±8. 5kg、BMIは25. 2±2. 7であった。脊椎の椎体間の角度を体表面上から測定できるSpinal Mouse(Idiag AG, Switzerland)を用い、安静坐位、体幹自己修正坐位、上肢を用いた体幹修正坐位(以下、上肢修正坐位)にて胸椎後彎角および腰椎前彎角を測定した。上肢修正坐位での胸椎後彎角および腰椎前彎角に対する体幹自己修正坐位での脊柱彎曲の変化率を算出し、解析に使用した。体幹屈曲および伸展筋力を等尺性体幹筋力測定装置GT-350(OG技研社)を用いて測定し、体重で除して解析に使用した。統計学的分析にはピアソンの相関係数を用い、危険率5%未満を有意とした。なお、本研究はサザンクリニック整形外科・内科倫理委員会の承認を得て行われた。
【結果】胸椎後彎角は安静坐位で44. 1±15. 0°、体幹自己修正坐位で38. 7±13. 4°、上肢修正坐位で35. 6±14. 3°、胸椎後彎変化率は68. 3±83. 8%、腰椎前彎角は安静坐位で-9. 3±21. 4°、体幹自己修正坐位で1. 1±14. 9°、上肢修正坐位で-0. 9±15. 9°、腰椎前彎変化率は97. 6±58. 8%であった。体幹屈曲筋力は2. 40±0. 55N/kg、体幹伸展筋力は4. 53±1. 32 N/kgであった。胸椎後彎変化率と体幹伸展筋力(r=0. 62)、腰椎前彎変化率と体幹屈曲筋力(r=-0.