■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています 1 Ψ 2021/05/19(水) 11:00:51.
天ぷらそばまだか?」 マサコはおじいちゃんを起こしました。おじいちゃんは、「あれ? 天ぷらそばまだか?」と言います。マサコが「さっき食べたじゃない」と言っても、「いや、食べてないよ」と言うおじいちゃん。お店の人に、「あの、天ぷらそば出てませんよ」と言い出します。マサコは急いでお金をはらい、おじいちゃんの手を引いて店から出ました。店の外でマサコから鼻にネギがついていることを教えられたおじいちゃんは、まじまじとそのネギを見て、ようやく、「ああ、食べたかも知れんなあ」と言いました。 scene 06 お墓まいりあきらめますか そこに時々迷々があらわれて、「お墓(はか)まいり行くの、あきらめますか」と言いました。予定より2時間もおくれているというのです。あせったマサコはおばあちゃんのお墓へ急ぎます。ところがお墓に着いても、お墓をそうじしたりしてずいぶん時間がかかります。「とちゅうでおやめになったら? もうこんな時間ですよ」と、また時々迷々があらわれました。もう2時半です。それでも、おじいちゃんが一生けんめいそうじしているのでやめるわけにはいきません。さいごにおじいちゃんは、手を合わせてずっとおがんでいました。 scene 07 やっぱりピクニックに行く! 帰りのバスの時間を見るとすぐに来るようです。4時くらいにはピクニックに合流できそうなのでマサコはほっとしました。ところがおじいちゃんは、「ちょっとあっち行ってみようか」と歩き出しました。「バスが来ちゃうよ」と言っても、「いいところがあるんだ。マサコに見せてやりたいんだよ」と引っぱっていこうとします。そのとき、マサコのけいたいでんわが鳴りました。「5時には解散(かいさん)しちゃうけど、来るの?」と友だちは言います。ちょうどそこへバスが来ました。まよったマサコは、「行く!」と一人でバスにとび乗りました。 scene 08 おじいちゃんが気になって すると、バスの中に時々迷々がいました。「いいの? おじいちゃんおいてきちゃったね」。「いいんだよ。おじいちゃん、わけわからないんだもの」とマサコ。「一人で帰れるかな?」。「だって、大人だよ。少しぼけてるけど」。そう答えてシートにすわったマサコですが、やっぱりおじいちゃんのことが気になります。「まよってるねえ」と時々迷々に言われて考えこむマサコ。「今からピクニックに行って楽しい? おじいちゃん、マサコに何を見せたかったのかなあ」と言われたマサコは、「おろして!」とさけびました。 scene 09 おじいちゃんが見せたかったのは 走ってもどりましたが、どこにもおじいちゃんのすがたはありません。「おじいちゃーん!」。マサコは心配になってなきだしてしまいました。すると、「さがしたぞ」とおじいちゃんの声が。「お前はいっつも道にまようからなあ。さあ行くぞアキコ、こっちだ」。マサコがつれてこられたのは、満開(まんかい)の大きな八重ざくらの木でした。「今年もアキコと二人でここに来られてよかったよ」と言うおじいちゃんに、「すごいきれい。ありがとう、おじい…。ありがとう、あなた」とマサコは話を合わせてあげるのでした。 scene 10 よろこんでくれたおじいちゃん 「たいへんだったねえ。ありがとう、マサコ」。夕食のしたくをしながらお母さんが言いました。マサコが生まれたとき、おばあちゃんににていると、おじいちゃんはすごくよろこんだのだそうです。「おじいちゃんといっしょに住むことってできないの?」とお母さんに聞くマサコは、「ちゃんとごはん食べてるかなあ?」とおじいちゃんが気になります。そのころおじいちゃんは、ばんごはんを食べながら、「今日、マサコとあのさくら見に行ったよ。あいかわらずきれいだったなあ」と、なくなったおばあちゃんに話しかけていました。